施設警備料金の考え方(平成30年版 建築保全業務積算基準及び同解説より)

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1.直接物品費の算定

(a) 直接物品費を構成する各費用は、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定し、それらを集計する。

(b) 直接物品費率は、表1の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表右欄に掲げる範囲内において、対象建築物の規模、用途、立地条件、築年数、保全状況その他の事情、過去の実績等を考慮し定める。

(c) 積算基準第2章2.2.2(b)のうち以下に要する費用については、表1の直接物品費率に含まれないため、必要に応じて別途積み上げにより加算する。

  • 消耗品のうり衛生消耗品
  • 消耗部品、材料のうち共通仕様書で支給品となっているもの
  • 共通仕様書の保守の範囲に含まれない部品・材料
  • 機械器具のうち、設備機器に付属して設置されるもの
  • その他及び雑費に掲げられるもの

表1 直接物品費率

区分 直接物品費率
(1)定期点検等及び保守 ①建築 (ア) 外部、内部及び構造部 1-3%
(イ) 自動ドア
②電気設備 (ア) 電灯・動力設備 1-3%
(イ) 通信・情報設備(構内情報通信網装置、構内交換装置、監視カメラ装置、駐車場管制装置を除く)
(ウ) 外灯、航空障害灯、雷保護及び構内配電線路・構内通信線路
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のも 8 -12%
①機械設備 (ア) a. 鋳鉄製ボイラー及び鋼製ボイラーのシーズンイン点検   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b. 無圧式温水発生機及び真空式温水発生機の点検(加熱能力が174kW以上のものに限る)      

C. 温風暖房機のシーズンイン点検

d.熱交換器、貯湯タンク及びヘッダーのシーズンイン点検

8 -12%
(イ) a.チリングユニット、空気熱源ヒートポンプユニット、遠心冷凍機、パッケージ形空気調和機及びガスエンジン式パッケージ形空気調和機のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検       b. 吸収冷凍機、直だき吸収冷温水機及び小形吸収冷温水機ユニット
(ウ) 冷却塔のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のもの 1-3%
④監視制御設備 中央監視制御装置、自動制御装置 1-3%
⑤防災設備 消防用設備等、建築基準法関係防災設備 1-3%
⑤搬送設備 (ア)  エレベーター、エスカレーター及び小荷物専用昇降機 a. POG契約の場合 8-12%
b. フルメンテナンス契約の場合 32-38%
(イ) 機械式駐車場 1-3%
⑦工作物・外構等 (ア) 工作物、外構の点検及び保守 1-3%
(イ) 植裁及ひ緑地
(2)運転・監視及び日常点検保守 ①運転・監視及び日常点検保守 (ア) 建築 1-3%
(イ) 電気設備
(ウ) 機械設備
(エ) 監視制御設備
(オ) 搬送設備
(3) 清掃 ①清掃 (ア) 建物内部 4-6%
(イ) 建物外部
(4) 執務環境測定※1 ①空気環境測定及び照度測定 1-3%
②吹付けアスベスト等の点検
(5) 警備※2 ①施設警備 1-3%

※1 ねずみ等の調査及び防除については、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定する。
※ 2 機械警備については、、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定する。

(近畿警備コメント)直接物品費率 警備員の場合の内訳

  • 装備品等:制服や警戒棒、防刃ベスト等の装備品、非金属性の楯、金属探知機、誘導灯、警笛
  • 常駐業務室、控室:常駐業務室、警備員詰所、控室および付帯する机、ロッカー等の什器備品
  • 消耗品等:ロープ、ごみ袋、乾電池等

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2.業務管理費の算定

(a) 業務管理費を構成する各費用は、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定し、それらを集計する。

(b) 業務管理費率は、表2の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表右欄に掲げる範囲内において、対象建築物の規模、用途、立地条件、築年数、保全状況その他の事情、過去の実績等を考慮、し定める。

(c)保全業務を行う場所が離島又は遠隔地のため、当該地に技術者を確保できない等の特別の事情がある場合に、当該業務を行うのに必要な技術者の交通費・宿泊費及び移動に要する時間に相当する人件費は、表2の業務管理費率に含まれないため、必要に応じて別途積み上げにより加算する。

表2 業務管理費率

区分 業務管理費率
(1)定期点検等及び保守 ①建築 (ア) 外部、内部及び構造部 25-29%
(イ) 自動ドア 19-23%
②電気設備 (ア) 電灯・動力設備 19 -23%
(イ) 通信・情報設備(構内情報通信網装置、構内交換装置、監視カメラ装置、駐車場管制装置を除く)
(ウ) 外灯、航空障害灯、雷保護及び構内配電線路・構内通信線路
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のも 32-36%
③機械設備 (ア) a. 鋳鉄製ボイラー及び鋼製ボイラーのシーズンイン点検           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b. 無圧式温水発生機及び真空式温水発生機の点検(加熱能力が174kW以上のものに限る)

C. 温風暖房機のシーズンイン点検

d.熱交換器、貯湯タンク及びヘッダーのシーズンイン点検

32-36%
(イ) a.チリングユニット、空気熱源ヒートポンプユニット、遠心冷凍機、パッケージ形空気調和機及びガスエンジン式パッケージ形空気調和機のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b. 吸収冷凍機、直だき吸収冷温水機及び小形吸収冷温水機ユニット

(ウ) 冷却塔のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のもの 19 -23%
④監視制御設備 中央監視制御装置、自動制御装置 19 -23%
⑤防災設備 消防用設備等、建築基準法関係防災設備 19 -23%
⑤搬送設備 (ア)  エレベーター、エスカレーター及び小荷物専用昇降機 a. POG契約の場合 50-56%
b. フルメンテナンス契約の場合 39-45%
(イ) 機械式駐車場 19 -23%
⑦工作物・外構等 (ア) 工作物、外構の点検及び保守 25-29%
(イ) 植裁及ひ緑地
(2)運転・監視及び日常点検保守 ①運転・監視及び日常点検保守 (ア) 建築 19 -23%
(イ) 電気設備
(ウ) 機械設備
(エ) 監視制御設備
(オ) 搬送設備
(3) 清掃 ①清掃 (ア) 建物内部 13 -17%
(イ) 建物外部
(4) 執務環境測定※1 ①空気環境測定及び照度測定 19 -23%
②吹付けアスベスト等の点検 25-29%
(5) 警備※2 ①施設警備 18 -22%

※1 ねずみ等の調査及び防除については、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定する。
※ 2 機械警備については、、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定する。
注1) 電気事業法に定めるところに従い主任技術者を必要とし、当該業務に含む場合等は、当該技術者の業務の内容及び形態に応じ、その費用を加算する。

(近畿警備コメント)業務管理費率 警備員の場合の内訳

  • 警備員の法定福利費、退職金:警備員(現業職)の健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の保険料の事業主負担分(⇔ 警備員以外は一般管理費に分類)
  • 募集費:警備員募集に要す費用
  • 研修・教育費:警備員の研修・教育・訓練に要す費用(研修に係る人件費含む)

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3.一般管理費等の算定

(a) 一般管理費等率を構成する各費用は、見積りその他の積算資料や過去の実績等から費用を算定し、それらを集計する。

(b) 一般管理費等率は、表3の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表右欄に掲げる範囲内において、保全業務を受注しようとする法人の形態、目的、規模及びその他必要な事項を考慮して定める。

表3 一般管理費等率

区分 一般管理費等率
(1)定期点検等及び保守 ①建築 (ア) 外部、内部及び構造部 8-13%
(イ) 自動ドア
②電気設備 (ア) 電灯・動力設備 8 -13%
(イ) 通信・情報設備(構内情報通信網装置、構内交換装置、監視カメラ装置、駐車場管制装置を除く)
(ウ) 外灯、航空障害灯、雷保護及び構内配電線路・構内通信線路
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のも 8-13%
③機械設備 (ア) a. 鋳鉄製ボイラー及び鋼製ボイラーのシーズンイン点検           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b. 無圧式温水発生機及び真空式温水発生機の点検(加熱能力が174kW以上のものに限る)

C. 温風暖房機のシーズンイン点検

d.熱交換器、貯湯タンク及びヘッダーのシーズンイン点検

8-13%
(イ) a.チリングユニット、空気熱源ヒートポンプユニット、遠心冷凍機、パッケージ形空気調和機及びガスエンジン式パッケージ形空気調和機のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b. 吸収冷凍機、直だき吸収冷温水機及び小形吸収冷温水機ユニット

(ウ) 冷却塔のシーズンイン点検及びシーズンオフ点検
(エ) (ア)から(ウ)までに掲げるもの以外のもの 8-13%
④監視制御設備 中央監視制御装置、自動制御装置 8-13%
⑤防災設備 消防用設備等、建築基準法関係防災設備 8-13%
⑤搬送設備 (ア)  エレベーター、エスカレーター及び小荷物専用昇降機 a. POG契約の場合 10-15%
b. フルメンテナンス契約の場合 10-15%
(イ) 機械式駐車場 8-13%
⑦工作物・外構等 (ア) 工作物、外構の点検及び保守 8-13%
(イ) 植裁及ひ緑地
(2)運転・監視及び日常点検保守 ①運転・監視及び日常点検保守 (ア) 建築 8-13%
(イ) 電気設備
(ウ) 機械設備
(エ) 監視制御設備
(オ) 搬送設備
(3) 清掃 ①清掃 (ア) 建物内部 14-19%
(イ) 建物外部
(4) 執務環境測定※1 ①空気環境測定及び照度測定 8-13%
②吹付けアスベスト等の点検 8-13%
(5) 警備※2 ①施設警備 9-14%

 

(近畿警備コメント)一般管理費等率 警備員の場合の内訳

直接人件費や上記費用のいずれにも該当しない費用で、受注者が企業を維持運営していくために必要な費用。一般管理費(販売費を含む)及び付加利益。

  • 役員報酬・(警備員以外の)一般社員の給料手当・一般社員の法定福利費事業主負担分、退職金
  • 一般社員の福利厚生費・修繕維持費・一般社員が使用する事務用品費、通信交通費・光熱水費
  • 広告宣伝費・地代家賃・調査研究費・寄付金・交際費・減価償却費
  • 租税公課・保険料(火災保険、その他損害保険)
  • 法人税、都道府県民税、市町村民税等・株主配当金・役員賞与・内部留保金
  • 支払利息及び割引料その他営業外費用等

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4 .ポスト配置表の作成(例)

(a) 警備業務は、見積りにより算出することとしているが、発注者が作成するポスト配置表を受注者が作成した作業工程表と比較することが重要である。

ポスト配置表は、各ポストの警備対象時間を算出するものである。

警備ポスト配置の時間によっては、深夜時間帯の割増しを行い、また、特定の資格要件が必要な場合は、技術者区分を変更する必要がある。

なお、警備員Bは、労働基準法により土日、祝日等を除き1日8時間、1週40時間、1年1.877.6時間(うるう年は1.883.3時間)の業務を行うことを想定としている。

(b) ポスト配置表の作成例 表4にポスト配置表を示す。次の諸条件のもとで、算出したものである。

(1) 警備責任者ポスト及び時間

開庁日の昼間は9:0 0 -18 :0 0 (休憩時間1時間を除く)を1ポストとする。

この場合の1ポスト当たりの年間の総警備時間は、開庁日が245日であるため次のとおりとなる。

8時間/日x245日=1.960時間/年

(2) 開庁日の配置ポスト及び時間
開庁日の配置ポスト及び時間は、次の設定とした。
ただし、開庁日夜間及び閉庁日に責任者代行の兼務者を置くものとする。

① 警備室受付 9:00 ~ 18:00  9 時間 1ポスト
② 正面玄関(1) 8:00 ~ 18:00 10 時間 1ポスト
③ 正面玄関(2) 8:00 ~ 18:00 10 時間 1ポスト
④ 西通用門 9:00 ~ 21:00 12 時間 1ポスト
⑤ 南玄関 9:00 ~ 17:00  8 時問 1ポスト
⑥ 庁舎内巡回 9:00 ~ 翌日9:00 24 時間 1ポスト
⑦ 駐車場管理 9:00 ~ 18:00  9 時間 1ポスト
⑧ 火気点検 17:00 ~ 22:00  5 時間 ⑥に含む
   87 時間 7ポスト

この場合における年間の労働時間は、次のとおりとなる。

87時間/日×245日=21,315時間/年

(3) 閉庁時の配置ポスト及び時間

閉庁日の配置ポスト及び時間は、次の設定とした。

① 西通用門 9:00 ~ 18:00  9時間 1ポスト
② 庁舎内巡回 9:00 ~ 翌日9:00 24時間 1ポスト
  33時間 2ポスト

この場合における年間の労働時間は、次のとおりとなる。

33時間/×(365-245)= 3,960時間/  

表4 ポスト配置表

特記仕様書添付の開庁日勤務配置表 特記仕様書添付の開庁日勤務配置表 

特記仕様書添付の閉庁日勤務配置表

特記仕様書添付の閉庁日勤務配置表

 

5.警備人員の算出

(4)警備人員の算出

(2)及び(3)より総警備時間は次のとおりとなる。

21,315+3,960=25,275時間/年

1人が1年間に勤務する時間は4(a)より1,877時間/年であるので

警備員Bの必要人数 25,275÷1,877=13.5名となる。

なお、この例はすべての業務を警備員Bが実施するものとして作成してあるが、実際は、警備隊を構成して業務を実施するので、業務ごとに必要な警備員の技術者区分を考慮して配置を検討することとなる。

(参考)平成25年版との比較

1人が1年間に勤務する時間は(1)より1,960時間/年であるので

警備員Bの必要人数 25,275÷1,960=12.89 → 12.9名となる。

なお、この例はすべての業務を警備員Bが実施するものとして作成してある。

また、各ポストの警備員を配置することについては、労働関係法令に従い休憩等を考慮する必要がある。各ポストにおいて警備員不在という空白を作らないためには、交替要員を考慮した警備隊の編成が必要となる。具体的には、警備員は、実働時間と休憩時間をあわせた時間が一回の勤務時間となり、そのポストにおいて休憩時間を賄うための人員が必要となる。例えば、表6. 4 .1のポスト配置表から算出した警備員Bの必要人員13.5名に対し、下記に例示する係数等を使用して、実際に必要な人員を算出することが一例として考えられる。

(係数の一例とその計算式)

①警備隊を構成するすべての警備員が、労働時間8時間、休憩1時間とした場合

(8+1)÷8=1.125

②警備隊を構成するすべての警備員が、労働時間7時間、休憩時間45分(0.75時間)とした場合

(7+0.75)÷7=1.107

③警備隊を構成するすべての警備員が、労働時間7.5時間、休憩時間45分(0.75時間)とした場合

(7.5+0.75)÷7.5=1.1

→①の場合、  13.5名×1.125=15 , 2名 が必要人員となる。

{近畿警備例: x 1.0、x1.1、x1.125(拘束時間 9h÷8h 実働時間)、x 1.2、x1.25 (所定労働時間 7.5h÷6 h 実働暗闇)、x1.33 (所定労働時間 8h÷6h 実働時間)、x 1.4・・・}、にて必要人数を算出。

参考資料:断続的な宿直又は日直勤務許可申請書

参考・引用文献

「建築保全業務積算基準及び同解説」平成30年版 国土交通省大臣官房長官庁営繕部監修 編集・発行 一般財団法人建築保全センター 財団法人建築調査会 (概ね5年ごとに発行)


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施設警備業務料金の計算方法としての例

  例1)

 例えば、施設警備業務の令和3年度年度労務単価(広島県)を基準とし、

直接物品費率=3%業務管理費率=22%一般管理費率=14%(法定福利費の会社負担分)と設定した場合

施設警備員C        
11,200(円) × 23(日) = 257,600(円)
↑労務単価   ↑当社所定労働日数    
257,600(円) × 12(ヵ月) = 3,091,200(円)
3,091,200(円) × 1.39 4,297,000(円)
仮に、1年間の実労働時間を1,960時間とした場合
4,297,000(円) ÷ 1,960(時間) 2,200(円)・・・・A
         
施設警備員B        
12,600(円) × 23(日) = 289,800(円)
↑労務単価   ↑当社所定労働日数    
289,800(円) × 12(ヵ月) = 3,477,600(円)
3,477,600(円) × 1.39 4,834,000(円)
仮に、1年間の実労働時間を1,960時間とした場合
 4,834,000(円) ÷ 1,960(時間)  2,470(円)・・・・A’
         
施設警備員A        
14,800(円) × 23(日) = 340,400(円)
↑労務単価   ↑当社所定労働日数    
340,400(円) × 12(ヵ月) = 4,084,800(円)
4084800(円) × 1.39 5,678,000(円)
仮に、1年間の実労働時間を1,960時間とした場合
5,678,000(円) ÷ 1,960(時間) 2,900(円)・・・・A”
         
例1)を基に        
A,A’,A”×当該施設警備年間総時間×1.0,×1.1,×1.125,×1.2,×1.25,×1.33,×1.4・・・
    ↑仮眠時間・交代要員等の係数
年間施設警備料金相当額
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